とにかく痛い胆石はなぜ発生する?
痛みは病気やケガなどの生命の危機を察知・判断するために必要なものですが、人間誰だって出来ることなら痛い思いをしたくはないものです。
しかし、病気によっては否応なしに痛みを感じさせられるどころか、「死んだ方がマシ」とさえ思えるくらいの強すぎる痛みが襲ってくることもあるのです。
内臓の一つである胆のうで起こる胆石も、そうした強い痛みを起こす病気の一つなのです。
胆石の正体とは?
胆のうは幅が3~10㎝、長さ7~10㎝程度の小さな臓器で、胆管を通して肝臓に張り付くように位置しています。胆のうが分泌する胆汁は、脂肪酸を分解して消化吸収を助けると同時に、古くなった赤血球のヘモグロビンを分解・再利用する機能を持っています。
本来、胆汁は胆管を通じて十二指腸に送り込まれているのですが、胆汁の主成分の一つであるコレステロールの濃度が上がってしまうと、結晶化して胆管へ送り込まれることなく胆のう内に残ってしまうのです。
胆石の大きさはまちまちですが、親指の第一関節大の大きさになることもあります。
胆石が発生すると、胆のうが位置する腹部右上に強い痛みを感じます。この痛みはかなりのもので、大の大人でも悶絶するほどの強さと言われています。また、吐き気や嘔吐を引き起こすこともあります。
胆石ができやすい5つのF
胆石ができやすい条件としてよく言われるのが、5つの「F」です。
この5つのFは女性(Female)、アングロサクソン系の白人(Fair)、40歳代(Forty)、肥満(Fat)、多産(Fertile)とされていますが、最近は白人を除いた「4つのF」で説明されることが多いようです。
牛の胆石は漢方薬になる
胆石は人間ばかりでなく、犬や牛などにも発生します。ただし牛の胆石だけは特別で、「牛黄」と呼ばれる漢方薬として珍重されているのです。牛黄には解熱作用、動悸に効く強心作用、けいれんを鎮める鎮痙作用などの効能があります。
高カロリー食が胆石を作る
胆石保持者の多くが胆のう内に抱えている胆石は、コレステロールが結晶化したコレステロール結石と言われています。それ以外では、胆汁の色素であるビルビリンが結晶化した黒色石、ビルビリンとカルシウムが結晶化したビルビリンカルシウム結石があります。
コレステロール結石はコレステロール値の増大によって発生リスクが高まります。つまり肉中心、炭水化物中心の偏った食生活が原因となってしまうのです。
胆のうごと取り除くことも
胆石の治療では、胆石を溶かす薬を服用する薬剤療法や、超音波衝撃波を当てて胆石を粉々に砕く体外衝撃波胆石破砕術などが行われますが、薬剤療法の場合再発する可能性があること、衝撃波による破砕は純コレステロール結石にのみ適応で日本人に多い石灰化混合胆石には適応していないといった欠点があります。
そのため、胆石の治療では外科手術で胆のうごと胆石を除去することも少なくありません。最近は開腹手術よりも患者の負担が小さい内視鏡での手術に人気が集まっています。
仮にも臓器である胆のうを除去してしまって大丈夫なのかと思う人も少なくないようですが、胆汁自体は肝臓でも分泌されているので、胆のうが完全に無くなってしまっても消化機能に問題はないのです。