潰瘍性大腸炎患者のための食事とは
毎日大きなストレスを抱えていたら、こんな症状が現れてきたという方はいませんか?・下痢が長く続いている
・血便が出ている
・腹痛がひどい もしこのような症状が続くようなら早めに胃腸科で診察をしてもらいましょう。
最近よく聞く病名「潰瘍性大腸炎」という病気は難病に指定されている病気です。この病気は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができます。
そのため、ごぼうやキノコなど繊維がしっかりしたものを食べると大腸の粘膜を傷付け悪化させる恐れがあります。毎日の食生活に気をつけることが体調維持を保つきっかけになります。
潰瘍性大腸炎ってどんな病気なの?
潰瘍性大腸炎の最も特徴的であるのが粘血便(ねんけつべん)です。ゼリー状の溜まりで透明や乳白色のドロッとした粘液が付着した便が何度も出ます。多いときでは1日に10回以上もトイレに駆け込むことも。そんな症状が表れているときの大腸の粘膜は、ただれたり潰瘍になっている部分があるかもしれません。最近では若い10代から30代にも多く、アメリカが発祥といわれたこの病気は日本でも患者数が増え続けています。
原因は不明ですが自己免疫が関連しているともいわれています。大腸内視鏡検査で病名を判断できるため、早目の受診が大切です。
腸に負担をかける食物繊維は控えたほうがいい
食物繊維は腸に負担をかけるものとかけないものに分かれます。負担をかける食物繊維とは「残渣」の多いものです。残渣とは消化されたのちに出るカスのようなものです。
食物残渣は便をやわらかくし便の量を増やすので、便秘の方は積極的に食べたほうが良いです。
しかし潰瘍性大腸炎患者は炎症している部分の粘膜がこすれ、症状が悪化しやすいので控える必要があります。繊維質の食物は腸内で消化されず腸に負担を与えます。そのため、大腸の潰瘍がある部分に負担をかけ、出血を引き起こす可能性があります。
基本的に食材はやわらかく消化の良いものを心がけ、細かく刻むなどの工夫が必要です。ニンジンやトマトなどの野菜の皮をむいて食べるだけでも違ってきます。豆類も皮の部分が硬いため枝豆などは薄皮をむくだけでも負担が違ってきます。
低残渣食で基本となる食材はどんな食べもの?
腸に負担をかけない低残渣食を心がけたいものです。覚えれば簡単に判別できます。腸に負担がかかりやすいものは、食物繊維の多い食品、動物性のねっとりとした脂質、発酵食品(乳製品)です。その逆を考え、さっぱりとしていてガスが発生しにくいものを選ぶと良いでしょう。
主食
主食として、おかゆや白米、もち、食パン、やわらかいフランスパンは食べられます。全粒粉やライ麦で作られたパンよりも白い小麦が原料のパンは消化が良いのでおすすめです。バターではなく、植物性のマーガリンやジャムを塗るほうが良いでしょう。クロワッサンはバターを多く使用しているので控えましょう。肉・魚などタンパク質のおかず
・肉類脂の多い肉(豚バラ・鶏もも肉)は控え、豚ヒレ肉、鶏ササミ肉、鶏ムネ肉などの脂身の少ない部分を食べる習慣を身につけましょう。
・魚類
魚の脂は控える必要はありません。ただし小骨の多い魚やフライ類は良くありません。刺身は栄養も豊富なので積極的に食べましょう。タコ、あわびなど噛み切れないような硬いものは控えましょう。
野菜類
繊維の少ない青菜の葉先、ブロッコリーの花の部分など噛んでいるうちにすぐなくなるようなやわらかい部分。ニンジンなら生より火の通ったものは消化が良くなります。ミキサーにして繊維を断ち切るなど、調理法に工夫をすれば食べられる食材が増えてきます。デザート
バナナ、もも、りんごなど消化の良い果物は食べられます。柑橘類は皮があり消化が悪いためおすすめできません。キウイも種が負担になります。ゼリーやようかんは良いでしょう。粒あんは小豆の皮があるので控えましょう。
潰瘍性大腸炎患者が控えたほうがよい食べ物
潰瘍性大腸炎患者が負担になる食べ物は、腸に負担のかかる消化の悪い食べ物、脂の多い食べ物、腸に刺激のある発酵食品と香辛料です。食物繊維の多い食材
・雑穀米・全粒粉・ライ麦・ほうれん草・小松菜・大根・ごぼう・山菜など繊維の多い野菜
・しいたけ・まいたけ・しめじなどのキノコ類
・こんにゃく・さつまいもなどの芋類
・小豆・納豆・おからなどの豆類
・わかめ・ひじき・寒天などの海藻類
・パイナップル・みかん・ドライフルーツなどのフルーツ類
繊維質の食物は腸内で消化されず腸に負担を与えます。消化がよくなるように調理法を工夫すれば食べられるものもあります。
辛い食べもの
カレーや唐辛子など、腸に刺激のある香辛料は控えましょう。冷たい飲み物
冷たいものや炭酸飲料は腸に刺激を与えるので飲まないほうがいいですが、絶対お酒を控えるようにという医師は少ないようです。すきっ腹にグイグイ飲むことや、深酒をしないよう気をつければ、適度に摂る分には問題ありません。低残渣食を上手に取り入れてストレスの少ない食生活を
潰瘍性大腸炎という病気は完治が難しい病気です。良い状態と悪い状態を繰り返しやすいため普段の食生活は大切。でも、一生食事制限をするというよりも、調子の良いときは普段どおりの食生活で、体調不良を感じたときは低残渣食に切り替えている方が多くみられます。
重要なのは体調不良のときに腸に負担のかかる食事を避けることです。そのためには低残渣食を把握することが大事です。 潰瘍性大腸炎になったからといって落ち込まず、低残渣食の知識を深め、ストレスの少ない食生活で乗り切りましょう。