【潰瘍性大腸炎】原因が不明で誰もが発症する恐れのある腸の病気|内臓疾患ファイル

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2012年12月7日
【潰瘍性大腸炎】原因が不明で誰もが発症する恐れのある腸の病気

大腸内に炎症や潰瘍・ただれをおこす、『潰瘍性大腸炎』という難病があります。原因も不明で、いつ発症するかもわからない病気です。「自分は大丈夫」という確証もありません。そうなった時のためにあらかじめ基本的な知識を知っておくのは良い事です。発症していない方も、身近に発症している人がいる方も必見です。

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原因不明で完治しない腸の疾患

3d render of the female small intestine

潰瘍性大腸炎を発症する人は多く、毎年約5,000人ずつ増加している傾向にあります。その根本原因は全く解らず、治ったかと思えば再発し、また治ったかと思えば再発を繰り返すため、国により難病指定がされています。

潰瘍性大腸炎は、消化器管に原因不明の炎症を起こすため、クローン病と共に炎症性疾患(IBD:inflammatory bowel disease)に含まれています。

この病気は、特定の年代や性別に多発するという事がなく、いつ発症するかわかりません。もしかしたら、自分の身におこるかもしれません。なので、どういう病気なのか?また、どんな治療法があるのか?詳しく知っておくと良いでしょう。

これを知っておけば、潰瘍性大腸炎に対処できる

こんな症状が見られたら、潰瘍性大腸炎を疑え!

潰瘍性大腸炎の症状として一般的なのは、『血が混じった下痢』です。それは、この病気の特徴でもある、大腸内の炎症及び潰瘍・ただれによるものです。この状態が大腸内にみられるため血便がでるのです。“切れ痔”や“痔ろう”によるものとは全く別の物であり、下腹部の痛みを伴います。よく過敏性腸症候群と勘違いされる事がありますが、放置しておくと大腸が死滅する事がありますので『血が混じった下痢』が見られたら診察される事をおススメします。

なぜ潰瘍性大腸炎が発症するのか?

残念ながら潰瘍性大腸炎の原因は不明です。
『免疫機能の異常』や『遺伝によるもの』など多方面から研究はされていますが、はっきりとした答えが出ていないのが現実です。なので、いつどこで誰に発症するかはわかりません。

潰瘍性大腸炎の特徴

先程も触れましたが、潰瘍性大腸炎は大腸内に炎症及び潰瘍・ただれがおきる病気です。しかも、一度治療してもまた再発するという厄介な病気です(活動期~寛解期という周期があります。

潰瘍性大腸炎が誘発させる合併症

潰瘍性大腸炎を発症させると、以下の3つの合併症に注意しなくてはなりません。

腸管合併症

腸管そのものが狭くなる『狭窄』、大腸と接している臓器との間に道をつくってしまう『痩孔』、潰瘍により腸壁に穴があく穿孔』には要注意です。
また、腸管内にガスや毒素を溜めこむ事でなる『中毒性巨大結腸症』もあります。
これに関しては手術が必要です。穿孔も手術が必要です)。

腸管外合併症

腸とは全く関係の無い所で合併症を引き起こす事もあります。
下肢部分にみられる結節性紅斑』壊疽性膿皮症』。目にあらわれる『虹彩炎』があります。
この他にも様々な合併症があります。

術後合併症

外科的手術を行なった後に、合併症を引き起こす事もあります。
『ステロイド離脱症候群』『腸閉塞』などを始め様々な合併症が起きる可能性があります。

潰瘍性大腸炎の主な治療法

投薬治療

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潰瘍性大腸炎を発症させますと、投薬による治療がメインになってきます。
主に使用されているのは『サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)』『ペンタサ』といわれる薬です。
これにより大腸内の炎症を抑えていきます。
症状が重い人には『ステロイド剤』を投与し炎症を抑えるようにします。
それでも中には効かない場合もあり、そういう時は『プログラフ』『サンディミュン』『イムラン』『ロイケリン』という薬によって免疫の調節を行ないます。

レミケード治療

大腸内の炎症を抑えるために、約2ヶ月に1度レミケードと呼ばれる点滴治療を受けます。
これにより炎症の原因とされているTNFαの作用を抑える治療を行ないます。
この治療を行ないますと効き目が約6~8週間程あります。ただし、活動期に入るとレミケードを行なっても炎症がおこります。
また、副作用があり点滴直後は免疫力が低下します。点滴中にも頭痛やめまいを訴える人もいます。

血球成分除去

血液内に異常活性した白血球を除去する治療方法です。

外科手術

炎症が酷い場合や手術の必要な合併症を起こしている場合、また投薬による治療が難しいと判断された場合は、外科手術によって大腸の切除や摘出を行ないます。
大腸を全摘出すれば『潰瘍性大腸炎』はなくなりますが、小腸に便を貯蓄する部分を作る手術や人工肛門の手術が必要になります。

寛解期を維持させる方法

寛解期とは炎症がおきてない状態の時期を言います。潰瘍性大腸炎になると、寛解期をできるだけ維持するように、病院では症状に合わせた薬を処方します。それを用法にそって飲む事が基本です。さらに栄養指導を受け、潰瘍性大腸炎に適した食事をとる事も大切です。食事制限というツライ状態が課せられると思いますが、今の段階ではそれがベストな方法です。
それに加えて、ストレスを溜めこまない事も寛解期を維持させる方法の一つです。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。