ポリープと癌はどう違うのか?
ポリープとは、細胞の異常増殖によって臓器の粘膜上に、隆起してできた突起物のことをいいます。
大腸のような管状の臓器や、胃のような袋状の臓器にできるのが特徴で、肝臓やすい臓などの中身の詰まった臓器の表面にできることはありません。
それに対して、遺伝子レベルの変異によって発生した異常な細胞が、過剰に増殖してできるのが良性腫瘍です。そして、その良性腫瘍が悪性化して、周りの組織に浸潤したり、転移したりするようになった悪性の腫瘍が癌なのです。
イボのような突起物であるポリープとは違って、組織の塊である癌などの腫瘍は、しこりのような触感が特徴です。また、「臓器の数だけ癌がある」といわれるように、心臓や脾臓などの例外を除くほとんどの臓器にできると考えられています。
基本的に、でき始めのポリープは痛みを伴うものではないのですが、成長したポリープがねじれることで違和感を感じたり、炎症による痛みを感じることで、発見に至るケースが多いようです。
ポリープは、成長が止まってしまえば、特別な治療は必要ありませんが、中には癌の原因となっていると考えられるポリープもあります。
消化器系にできるポリープの主な種類
ポリープには、一般的に知られている声帯などの呼吸器にできるポリープのほか、胃や大腸などの消化器系にできるポリープ、子宮頸管や子宮内膜にできる女性特有のポリープがあります。
ここでは、消化器系にできる代表的な3つのポリープについてご説明します。
胃ポリープ
胃の粘膜にできるポリープで、主に「腺腫性ポリープ」「過形成性ポリープ」「胃底腺ポリープ」の3つがみられます。
ポリープができても自覚症状がないのが特徴で、「腺腫性ポリープ」と「過形成性ポリープ」の2つはガン化の可能性があると考えられています。
大腸ポリープ
大腸の粘膜にできるポリープで、主に「腺腫性ポリープ」「過形成性ポリープ」「炎症性ポリープ」の3つがみられます。
小さなポリープでは自覚症状はありませんが、大きくなると排便の際の出血や、血便が見られることから、日頃から注意をしておくと良いでしょう。
直腸やS状結腸でもよく見られる「腺腫性ポリープ」は、大腸ポリープの約80%を占め、ガン化の可能性が高いと考えられています。
胆のうポリープ
胆管によって肝臓や十二指腸とつながっている胆のうは、肝臓から分泌される消化に必要な胆汁を蓄える器官です。
その胆のうの粘膜にできるポリープも、自覚症状はありませんが、胆嚢症などの合併症が起こることで、みぞおちのあたりに痛みを感じることがあります。
また、超音波検査によって5%ほどの確率で見つけることができるのですが、胆汁に含まれるコレステロールが浸み込んで隆起した、比較的割合の高い「コレステロールポリープ」は、良性腫瘍の「腺腫」や癌と見分けることが難しいことから、経過観察が必要となります。