【クローン病】若者に多く見られ原因不明で発症する消化器の難病|内臓疾患ファイル

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2012年12月6日
【クローン病】若者に多く見られ原因不明で発症する消化器の難病

高熱や腹痛を生じさせ、腸内に炎症や潰瘍を発症させる『クローン病』というものがあります。日本の罹患者数は2万人以上といわれ、難病指定されている病気です。この病気が発症したらどうしたら良いのでしょうか?ここでは、上手に付き合っていく為に、この病気の主な特徴と治療法を紹介しています。

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若者に見られ消化器の至る所に発症する難病

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高熱が出て腹痛や腹部の腫れを感じると『虫垂炎』を誰もが疑うでしょう。しかし、中には虫垂炎とは全く別の病気で、この様な症状を引き起こす場合があります。
その病気は『クローン病』と言います。

クローンと聞くと、何か遺伝子を組み替えたものというイメージをするかと思いますが、そのクローンとは全く関係ありません。ブリル・バーナード・クローン氏が発見したので、この名前がつきました。

このクローン病は、主に10代~30代の若年層に多く見られ、消化器の至る所(小腸や大腸、結腸等)で発症する病気です。今の医療では完治できない難病です。
しかも、原因も断定できない為、一度発症したら上手に付き合っていくしかないのです。

難病にまで指定されている『クローン病』とは、一体どのようなものなのでしょうか。

クローン病に見られる主な特徴

クローン病という難病を理解するには、その主な特徴を知っておくと良いでしょう。

クローン病は、10代~30代という比較的若い年齢層によく見られます。男女比にしますと、『男性2:女性1』の割合で男性の方が発症しやすくなっています。また、欧米諸国に多く見られているのも、この病気の特徴と言えるでしょう。ちなみに日本では難病指定されていて、罹患者数は2万人以上といわれています。

主な症状としては、小腸や大腸・結腸などの消化器の粘膜に炎症や潰瘍ができます。それにともない、発熱や腹痛、膿を生じさせます。また、腸の狭窄や腸同士の癒着を引き起こす事もあります。

さらに、一定の周期(活動期~寛解期)がある為、治療をしていたとしても何度も発症してしまいます。

ただ、クローン病にはかなり個人差がありますので、必ずしも上述の症状が見られるとは限りません。中には、関節炎や皮膚に潰瘍ができる人もいます。

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クローン病と上手に付き合っていく方法

クローン病にかかってしまったら、どの様に対処していけば良いのでしょうか?
※個人差があるので、一般的な療法を紹介します。

食事制限

普段から注意できるのは『食事』です。
『低残渣食・低脂肪食』といわれるメニューが、クローン病には良いでしょう。
低残渣食・低脂肪食とは、食物繊維や脂肪などを抑え、腸内にカスが残らない様にしたものです。それに加えて、刺激の強い物かんすい、その他腸に負担をかけるものを取り入れないで調理しなければなりません。
食べ物に関しては、担当医師との相談や病院側からの栄養指導を受けられると良いでしょう。

成分栄養法

『完全消化態栄養剤(エレンタール)』という、粉末化された栄養剤を水または湯に溶かして飲む事で、腸の炎症の修復腸管の安静を行なうことができます。専用の味付けフレーバーで飲みやすくして摂取する事も出来ますが、就寝時に鼻から管を入れポンプで直接注入するという方法もあります。
ただし、副作用として下痢を引き起こします。

薬物療法

クローン病になりますと投薬が欠かせなくなります。個人差があるので処方される薬に違いはありますが、一般的に『プレドニン』『ペンタサ』『サラゾピリン』という薬が用いられています。それにより寛解期を保たせたり、寛解期に向けて腸を整えたりすることができます。

レミケード治療

クローン病患者の人は、2ヶ月に1回くらい『レミケード治療』という治療を行ないます。
これは点滴による治療です。レミケードにより、炎症を引き起こしているTNFαの作用を抑える事が目的です。1回2時間程の点滴で、6~8週間ほど効くといわれています(あくまでも個人差はあります。効かない人も稀にいます)。
しかし、レミケード治療には副作用もあり、点滴直後は免疫力の低下があります。また点滴中にめまいや頭痛が起こる事があります。

絶食+点滴治療

クローン病が活動期に入り入院となると、『絶食+点滴』という治療をする事があります。おそらく腸管は炎症や潰瘍が発症しているので、投薬によってそれらを抑えていくのです。治まってくれば食事をとる事ができるでしょう。

外科手術

腸管内で炎症や潰瘍が著しい場合や狭窄状態が著しい場合は、その部分を切除しバイパス手術を行なうという外科的手術を行なう事もあります。

避けるべきもの

クローン病にとって大敵になるのが『喫煙』です。これには受動喫煙(喫煙者が放つ副流煙を強制的に吸わされてしまう事。意志とは全く反した煙の吸入)も含まれています。
喫煙者では1.8倍。受動喫煙では1.7~2.0倍もリスクが高くなっています。
喫煙しない事と煙草の煙がある所は徹底して避けましょう。

また、食事においては一般的に『脂肪』『刺激物』『繊維質』『かんすい』は良くありません。炎症を誘発するものといわれています。食事の際の素材選びから味付けに至るまで細心の注意が必要です。食品の成分表示を見る習慣をつけておくのは良い事です。

完治はしないが上手に付き合う事ができるクローン病

現段階の医療では、クローン病の完治は難しいとされています。一度発症してしまえば、一生付き合っていかなくてはならないのです。確かにこの事実は重くのしかかってきます。
それでも、寛解期を維持させる治療や症状を抑える治療はできています。それに加えて、食事や投薬などの日頃の管理によって普段通りの生活を送る事ができます。

ここで、紹介した治療法は一般的なものですし、人によっては症状にかなり個人差があります。しかし、クローン病と上手に付き合うことは十分に可能なのです。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。