肝機能低下につながる脂肪肝、その原因は?
肝臓はエネルギー源となるグリコーゲンの生産や脂肪分の分解・合成などの代謝活動や、アルコールの分解などの解毒機能、コレステロールを分解する胆汁を分泌する消化機能など多くの機能を供え、内臓の中で唯一再生能力を備えている臓器です。
日夜研究が進んでいる人工臓器でも、肝臓を人工的に再現するには東京ドーム二個分の広さの土地に工場を建てなければならないといわれるほどその機能は複雑かつ多岐に渡っているのです。
このように、生きていく上で非常に重大な役割を果たす肝臓ですが病気を患うと、症状が出ないままゆっくりと進行していく性質を持っています。そんな厄介な病気の引き金になるのが脂肪肝なのです。
脂でドロドロパンパンになってしまう脂肪肝
脂肪肝は、肝臓の細胞に中性脂肪が蓄積される事で起こる内臓疾患です。ガチョウに強制的に大量の餌を食べさせて肝臓を肥大させて作られる、世界三大珍味のひとつであるフォアグラは脂肪肝の代表例と言えます。
脂肪肝は、甘いものの食べ過ぎやお酒の飲み過ぎを主な原因として発症します。過剰に摂取した糖分や炭水化物はブドウ糖に分解された後、中性脂肪として脂肪細胞に蓄積されるのですがその一部が肝臓に蓄積されてしまう事で脂肪肝になってしまうのです。
急増する非アルコール性脂肪性肝炎
脂肪肝の状態が長引けば、やがて炎症を起こして肝炎となり、脂肪細胞が繊維状の組織になって機能を失う肝硬変、がん細胞化する肝ガンへと発展していきます。
このように脂肪肝に端を発する肝臓疾患は、酒飲みの宿命ともいえるもので飲酒量の多い人は健康診断の度に肝臓の数値に一喜一憂するものです。
しかし、最近は飲酒習慣がない人であっても脂肪肝を起こすケースが増加しています。このような飲酒に起因しない脂肪肝から肝臓疾患に発展するのが「非アルコール性脂肪性肝炎」です。
非アルコール性脂肪性肝炎は女性に多く見られますが、その原因として考えられているのがダイエットです。
食事制限を行うダイエットは、栄養バランスの崩壊を招き体調不良の原因になりやすいものですが食事量を減らすのが手軽だからと行う人は未だに後を絶ちません。食事量を減らして減量出来ても、食事量を元に戻せばあっという間に体重は元通りになってしまうのです。
このような減量とリバウンドの繰り返しによって、肝臓は非常用のエネルギー源にするために中性脂肪をより多く蓄えようとします。そのため、たとえお酒を一滴も飲んでいなくても脂肪肝になってしまうのです。
また、食事制限などによるタンパク質の摂取不足も脂肪肝の原因となります。肝臓に蓄えられた中性脂肪はたんぱく質がないと肝臓から移動できないのです。
脂肪肝を防ぐには?
脂肪肝は放っておくと肝硬変や肝がんの原因になってしまう為、出来るだけ早期の内に治すか日頃から予防策を講じておく事が大事です。
脂肪肝の予防には、毎日の食生活を見直し栄養バランスが取れた食事を取る事、休肝日を設けるなどお酒を飲み過ぎないようにする、毎日運動して体内の中性脂肪を減らすといった対策が有効です。