時には内臓を苦しめる食中毒の怖さとは
身体の健康を保つ上で毎日の食事は欠かせないものですが、食事の仕方によっては身体を壊してしまう事も良くあるものです。個人ごとに違うアレルギーもその一つですが、食べ物に混入した細菌などによって起こる食中毒も身体を害する原因なのです。
しかし、「食中毒=食べ物に当たって数日寝込む」というイメージを持っている人も多く、「食べ物は腐りかけが美味い」と食中毒のリスクが上がるような食べ方を進める人も少なくありません。
食中毒は、時に命取りにさえなるもっと恐ろしいものなのです。
細菌・ウィルスの働きで起こる食中毒
食中毒は、食べ物に含まれていたり外部から混入したりした細菌・ウィルスや寄生虫によって引き起こされる病気で、主に下痢・嘔吐・発熱などを症状として起こします。
食中毒は主に6月から9月にかけての気温と湿気が上昇する夏季に多く見られるというのが定説になっていましたが、近年は生牡蠣との関連が指摘されるノロウィルスによる中毒が増加していて牡蠣の旬である冬場にも起こりやすくなってきています。
食中毒は命さえ奪うことも
食中毒は症状が軽ければ数日ほど下痢に悩まされて寝込む程度で済みますが、症状が重くなれば命を落とすことさえ十分にありうるものです。
ボツリヌス菌が原因となって食中毒を起こすケースが極めて危険性が高いものと言えます。ボツリヌス菌が生成する毒素は、1gあたり100万人分の殺傷力を持つといわれ自然界でもトップクラスの強さがあるといわれています。ボツリヌス毒素には筋弛緩作用があり四肢の麻痺、呼吸困難を引き起こしてしまいます。
また、普通の食中毒でも下痢・嘔吐が続けば体内の電解質のバランスの乱れや極度の脱水症状を起こし、死に繋がってしまうため、身体が弱い子供やお年寄りには命取りになる可能性が高いのです。
激痛を伴うアニサキス
海洋資源が豊富な日本には刺身や洗いといった生魚を食べる食文化が根付いていますが、魚にはアニサキスという寄生虫が寄生している事が多く、生魚を食べる事で感染してしまうケースが少なくありません。
アニサキスが人間の身体に寄生すると、胃壁や腸壁に食い込んで激しい激痛を引き起こしてしまいます。アニサキスは胃の中では約4日間生存が可能と言われているので、放っておけば自然に痛みは引きます。しかし、腸に辿りついてしまうと激痛のみならず腸捻転や腸閉塞を引き起こしてしまうので直ちに摘出手術を行わなければなりません。
食中毒を防ぐには
このように食中毒は、掛かってしまうと多大な苦痛をもたらし時には命取りにさえなってしまうものです。出来ることなら当たる前に防いでおきたいものです。
食中毒を予防するには「高温多湿環境に食べ物を置かない」「手や調理器具を清潔に保つ」「加熱調理を行う」「冷蔵・冷凍で細菌の増殖を抑える」「調理したらすぐに食べる」を徹底する事が大事です。
食中毒の原因になる細菌・ウィルスのほとんどは60度以上に加熱すれば死滅するし、10度以下に冷却すれば細菌の活動が鈍り、増殖が抑制できます。
また、黄色ブドウ球菌などの食中毒の原因は手や調理器具から食品に混入してしまうため、調理前は必ず手を石鹸で洗い、包丁・まな板・皿は洗浄・殺菌しておく事が大事です。
また、幾ら加熱調理をしていても料理を長時間放置していては衛生的にも良くありません。料理が冷めないうちに食べてしまうことも、食中毒予防にとても重要なのです。