1年前から兆候があった?
昔からスナック菓子が大好きだった私。食べ過ぎで夜中に吐くこともありました。
ある夜のこと、その夜は吐き気と寒気が収まらず、トイレと寝床の往復を繰り返した末、とうとう寝床に戻れなくなりました。ストーブの前でうずくまったまま、携帯電話でTwitterに書き込むと「ツイートしてないで救急車を呼べ」とアドバイスされたことを覚えています。結局、救急車は呼ばず、なんとか自力でタクシーを呼びました。
そして、行った病院の夜間救急センターで打ってもらった点滴で症状は回復。頭の中は「寝ておかなければ明日の仕事に差し支える・・・」ばかりでしたが、次の日は無事出勤できました。思い返せば、その頃から既に内臓が蝕まれていたのかもしれません。
【豆知識】救急車を呼ぼうか迷ったら
#7119番へ電話をかけると、お住まいの地域の救急相談窓口へ自動的につながります。「救急車を呼ぶほどの緊急性があるのか」自己判断ができない場合に利用しましょう。
初期症状は胃痛と腰痛?
夜間救急での点滴を体験してから1年ほど経過した頃のことです。徐々に、胃の痛みを感じ始めました。スナック菓子を少し控えてみましたが、症状は改善せず数日が経過。
さらに背中が痛み始めました。肩こり・腰痛の延長と考え、肩たたき棒で激しくたたき続けて、ついには打撲の痛みと区別がつかないありさまに。
胃痛と背中の痛みがつながって、アンダーバストを一周するライン全体に痛みを感じるようになり、初めて「この背中の痛みは肩こりの延長ではない」可能性に気がついたのです。それでも、まだガマンできる程度の痛みなので、病院へ行くほどではないと甘く見ていました・・・。
【豆知識】背中の痛みは疾患のサイン
筆者の背中の痛みは胆石から来るものでしたが、他にも背中の痛みが症状として現れる疾患は多くあります。
・肺
・心臓
・腎臓
・食道
・胃
・肝臓
・すい臓
・胆のう
・腸
・子宮
・神経
・血管
・尿管
痛みから目をそらしていたら限界が来た
微妙な痛みが続いていたある日の深夜、だんだんと痛みが強くなってきました。脂汗がにじみ、寒気を感じて、ストーブの前へ。座っても痛い、立っても痛い、うずくまっても痛い。少しでも楽な姿勢を模索してのたうち回っていたら、うめき声を聞きつけた家族が起きてきました。
そして、そのまま車に乗せられて、夜間救急センターへ向かいました。車での移動中、救急センターでの待合室、椅子に座る姿勢さえつらかったことを覚えています。
私の症状は痛みに波があり、待っている間に徐々に落ち着いてきました。救急センターはかなりの盛況ぶりで、やっと呼ばれた頃には、痛みはガマンできる程度に。胃薬を処方され、後日きちんと病院で診察を受けるように指示されて帰されました。
【余談ですが】
模索の末に見つけた「少しでも楽な姿勢」は、上半身を低くお尻を高く上げた女豹のポーズでした。胆石の痛みは、胆のうから胆管へ転がり落ちたときに感じるものだそうです。女豹のポーズは、今にして思えば、胆のうが下になる角度が効いたのかもしれません。
【豆知識】救急は通常の診察・治療を行わない
「その場で治療しないと命に関わる・後遺症が残る」場合に治療をするのが「救急外来」。つまり、緊急性がない場合は応急処置にとどめ、外来での診察を促すのです。救急外来では長期計画の治療を担当することがないので、処方される薬の量も、外来の診察を受けられるまでの日数分のみとなります。
血液検査と胃カメラ検査
夜間救急に行った翌日、改めて近所の内科へ行きました。診察内容は、問診・血液検査・胃カメラ検査。胃カメラ初体験の私は、のどの麻酔の途中でえずいてしまい、予定より早く麻酔を切り上げるハメに。そのためかカメラが通過する際は地獄の苦しみでしたが、少しの胃壁のただれ以外に大きな異常もなく、胸をなで下ろしました。
血液検査は、別の施設に血液を送るため、ここでは血液を取るのみです。検査結果がわかり次第電話連絡をすると言われ、数日分の胃薬を処方されました。胃カメラで異常がなかったにもかかわらず胃薬が出たのは、私が問診で「胃のあたりが痛い」と申告したためでしょう。
【余談ですが】
私の母は鼻から入れる胃カメラを体験したことがあるそうです。病院で見たポスターによると、鼻から入れるとカメラの侵入角度がのどで鋭角になるのを避けられるため、のどの苦しさが軽減するんだとか。
しかし、母は「鼻血が出たから、鼻から入れる胃カメラはこりごりだわ」と言っていました。とはいえ私自身、口から入れる胃カメラがつらかったのでもうこりごりだと感じたのも事実です。
【豆知識】胃カメラ検査を受けるコツ
ゼリー状の麻酔をのどの奥にためた状態で、数分間待たなければいけません。飲み込まずにのどに液体をためたまま、鼻で呼吸を続けることに戸惑う方もいます。胃カメラ検査の予定が入ったら、水道水などを使って練習をしてみても良いかもしれません。
胃カメラがのどを通過するときには「飲み込む動き」が必要です。食べ物を飲み込むときをイメージして、カメラを飲み込むように先へ進めましょう。緊張していると、ますます胃カメラが通過しにくくなり、苦しくなります。医師・看護師もプロですから、できるだけリラックスをして身を任せましょう。
検査中は顔の横に唾液を受ける皿が用意されるか、看護師がこまめにふき取ってくれます。胃カメラが入っている状態で唾液を飲もうとするとむせてしまうので、恥ずかしがらずに垂れ流しましょう。
【豆知識】ひとくちに胃薬といっても
夜間救急で処方された胃薬は以下の3種類。
ストロカイン錠
胃の粘膜に対する麻酔作用により、胃炎や消化性潰瘍による痛みや吐き気などを改善したり、胃酸の分泌を抑える
ブスコパン錠
内臓の筋肉の過剰な運動やけいれんを抑え、腹痛や尿路結石による痛み、月経困難症による痛みなどを和らげる
ザンタック錠
胃酸やペプシンの分泌をおさえることにより、胃・十二指腸潰瘍や胃炎の症状を改善する
そして、近所の内科で胃カメラ検査の末に処方された胃薬は以下の3種類。
タケプロンOD錠
胃酸の分泌を抑え、潰瘍、胃炎や食道のただれを治す
チアトンカプセル
胃腸や胆道、尿管のけいれんを抑え、痛みを和らげる
ムコスタ錠
胃粘膜を保護修復する
プラシーボ効果もあったのかもしれませんが、どちらの3種類も、服用することで痛みが軽減したように思えました。思い返せば、胆のうの周辺の内臓が活動するほど胆石が胆管へ転がり落ちるケースが増すのでしょうから、ブスコパン錠・チアトンカプセルの「けいれんを抑える」役割が効いたのかもしれません。
検査の結果、肝機能に異常を発見
胃カメラの結果は悪くないし、処方された薬を飲めば多少は楽になります。数日後に血液検査の結果が出ることも忘れ、完全に安心しきっていました。
ところが、電話連絡が来たのは翌日の午前中。「今すぐ来るように」と穏やかではない内容に、あわてて向かいました。検査の結果、肝臓の働きを表す数値が通常の約30倍になっていることが判明し、肝機能に異常が見つかったのです。
「うちのクリニックには手術をする設備がありません」
「紹介状を書きますから、設備のある病院へ行ってください」
「日を空けず、この後このまま向かってください」
・・・という医師の言葉に不安を抱えた私は、とにかく指定の病院へ向かったのです。
【豆知識】病院と診療所の違い
病院とは、入院患者のためのベッドを20床以上持つ医療機関をさします。入院するための設備を全く持たない、もしくは19床以下の医療機関は、診療所と呼ばれるのです。なお、施設名に「~病院」とついていない「~クリニック」や「~医院」などは、診療所に分類されます。
筆者は胆石ができやすい体質だった
血液検査の結果は「十中八九、胆石だろう」とのこと。紹介された先の病院では、その確認のためにエコー検査を受けました。その結果、胆のう内に2つ、胆管に1つ、合計3つの胆石が発見されたのです。
手術以外の治療方法もあるのですが、私は胆石の数が多くサイズも大きいため、胆のう摘出手術が選択されました。胆石は胆のう内を満たす胆汁が結晶化してできたものです。体質的に結晶化しやすい人は再発する可能性があるため、胆のうを全摘出することがベストなのだとか。
いったん準備のために帰宅し、買い出しや役所の手続きを済ませ、翌日には緊急入院という展開になりました。こうして私の入院生活が始まったのです。
【豆知識】医療費の支払額を抑えるシステム
通常の高額医療費の制度は、原則として「いったん支払いを済ませてから、申請をして払い戻しを受ける」ことになります。後で払い戻しがあるとはいえ、多額の医療費を支払うことは大きな負担ですよね。
そこで、「限度額適用認定証」を発行することで、最初から支払額を軽減できます。対象となるのは、国民健康保険に加入している69歳までの方。なお、70歳~74歳で「高齢受給者証」を所持している方は、限度額適用認定証を別途発行しなくても、高齢受給者証を提示するだけでこの制度を受けられます。