らんそうしゅよう(卵巣腫瘍)、らんそうのうしゅ(卵巣嚢腫)
突然ですが女性の方で左右の下腹部、そのどちらかが痛いという方は、近いうちに婦人科へ行くことを強くお勧めします。どうして?と疑問が生まれるでしょう。
それは、将来に大きく関わる病気の可能性が考えられるからです。
※卵巣嚢腫については見易いように卵巣のう腫と表記させていただきます。
卵巣腫瘍と卵巣のう腫という単語は、似たような単語なので同一視している方も多いようです。
カテゴリが大きく絞られているのか小さく絞られているのかという違いです。
しかし非常に多くの偽説が存在し、例を挙げると良性卵巣腫瘍と悪性卵巣腫瘍の割合=良性卵巣腫瘍の卵巣のう腫の割合となっていることもあります。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍とは名前の通り卵巣に出来る腫瘍のことです。この腫瘍が出来ること自体は珍しい事でもなく、卵巣が腫れていればそれだけで卵巣腫瘍といえます。
この卵巣腫瘍は良性卵巣腫瘍・悪性卵巣腫瘍・境界悪性卵巣腫瘍と大きく三つに分類されます。
更に小分類に分けるとなんと何十種類にもなり、卵巣の腫瘍だけでも数多く存在します。
悪性卵巣腫瘍はがんでもあり、それを素人が判断するのは不可能に近いでしょう。
・境界悪性腫瘍-良性と悪性の中間的な性質を持った腫瘍
・がん-悪性腫瘍や悪性新生物の全般、癌と肉腫も示す
卵巣のう腫
卵巣のう腫とは卵巣にできた腫瘍の中に内容物が溜まったもので、がんとは違います。また内容物には体内の液体や血液の他、髪の毛などの異物も存在します。
卵巣のう腫は数多くの種類がある卵巣腫瘍のひとつで良性卵巣腫瘍と分類されますが、そう診断されたといっても安心してはいけません。実は良性卵巣のう腫でも手術をすることがあるのです。
卵巣嚢腫茎捻転(らんそうのうしゅけいねんてん)
のう腫の茎(根元の部分)が捻れてしまうこと。原因は様々な説がありますが明確な原因はないようです。この茎捻転、卵巣のう腫の根元が捻れて血流が悪くなるため恐ろしい激痛を伴います。
その激痛は、出産経験をした方でも我慢できない程の人生最大級の痛みです。
捻れても一時的に元に戻ることもありますが、一度捻れてしまうと癖がつきます。
これを放置しておくと腫瘍は肥大して捻れたまま戻らなくなり、血液の流れが悪くなり器官の壊死や破裂などといった最悪な事態になりかねません。
多くの方の話に出てくる卵巣腫瘍と卵巣のう腫は、ほとんどが茎捻転のことを示しています。
おさらいpoint
(1)腫瘍のカテゴリに卵巣腫瘍(2)卵巣腫瘍のカテゴリに良性卵巣腫瘍
(3)良性卵巣腫瘍のカテゴリに卵巣のう腫
(4)卵巣のう腫の肥大による茎捻転が起こる
症状症状(括弧内は主に見られるパターン)
茎捻転による下腹部痛(悪性卵巣腫瘍と卵巣のう腫)
基本的に良性卵巣腫瘍には初期症状がありません。殆どは茎捻転により下腹部に痛みを覚えて診断した結果に判明します。
しかし、生理痛で腹部の痛みになれている人は気付きにくいので注意が必要です。
茎捻転を起こした場合、診断内容によっては緊急手術を行い卵巣を摘出しなければならないということも少なくないです。
便秘(卵巣腫瘍)
これは初期症状としてあらわれる方もいます。便秘症の方は気付きにくい症状ですが、原理的には妊娠時の便秘と同じといってもいいでしょう。
ホルモンバランスが崩れたり、肥大した腫瘍が腸を圧迫することによって便秘の症状があらわれます。
これと併せると頻尿の症状があらわれる方もいます。
膨満感(卵巣腫瘍)
腫瘍が大きくなることで腹部までが大きくなったりします。これも妊娠中に似た経験はすると思います。
人によっては誰もが見ただけで腹部が膨れていたりもします。
また、膨れている部分を触ると、しこりがあるのが分かる方もいるそうです。
それは少数の話なのでくれぐれも自己判断はしないようにしましょう。
性器出血(悪性卵巣腫瘍、卵巣のう腫)
今は生理不順や不妊症の女性も多く、それに伴って不正出血を起こすという事例も少なくないです。不正性血は排卵期出血や性行為後によく見られる膣の粘膜が傷付いて起こる病的要因でないものもあります。
またホルモンバランスの安定しないない思春期や更年期にも見られますし、ストレスなどから出血を起こすこともあります。
このように症状として人によって普段から馴染みのある症状が多いので、医療機関できちんと診てもらうしか判断方法がないのです。
治療方法
治療方法は大きく分けて以下に挙げる二つになり、手術になった場合はその分類があります。経過観察
前述したように卵巣で腫瘍ができることは珍しくないのと同時に自然になくなることも多いのです。がん細胞がいつの間にか消えていたという事例と同じです。
このように腫瘍が自然に消えてしまえば手術の必要もなくなります。
「経過観察して、状況によっては手術」というのは、良性卵巣腫瘍ではあるが茎捻転の可能性もなく日常生活に問題はないが、腫瘍が肥大し茎捻転が起こることを考慮した診断なのです。
卵巣のう腫摘出術と付属器摘出術
どちらも腹腔鏡術と開腹術があります。違いとして、卵巣のう腫摘出術は悪性でないものを対象とした卵巣にできた腫瘍のみを取り除く手術で、付属器摘出術は対象の臓器ごと摘出する手術になります。
腹腔鏡手術
腹部を数箇所小さく切開し、内視鏡を使用した手術。体内を観察しながら専用の器具で腫瘍を取り除く方法です。傷が小さく、治りも早いので体への負担が少ないのが特徴です。
腫瘍が悪性である可能性がみられる時、過去の手術により癒着が想定される場合などには開腹手術となることもあるので必ずしも腹腔鏡手術での治療が出来るとは限りません。
開腹手術
腹部を切開する点では腹腔鏡手術と変わりませんが、切開範囲が大きく治りが遅くなります。茎捻転からの激痛による緊急手術の場合は確実にこれになります。
稀なケースだと緊急手術の場合、左右の卵巣に腫瘍がみられ、どちらも付属器摘出となると卵巣の機能がなくなるので出産が出来ない要因にもなります。
定期健診の勧め
最後に定期検診の勧めになります。地域によっては無料の定期検診のお知らせが告知されるところもあるでしょう。
特に女性の場合、卵巣腫瘍を油断してみていると卵巣のう腫茎捻転による緊急性を必要とする事態になりかねませんので受診しましょう。
緊急手術となった場合、金額も大きく急な出費を要します。
これは10代からでも起こりうるので保険が未加入だったり、女性特有の病気なので保険の対象にならないこともあります。
日頃から定期検診を受けていれば、早期発見ができ治療に対する相談ができます。
また予算や心にも余裕が持てるといことを考慮すると定期検診がいかに大切か理解できることでしょう。
みなさんが健康で充実した日々を送れるように体調管理はしかっりとしましょう。