逆流性食道炎の主な症状と治療の必要性
逆流性食道炎の主な症状として、胸焼け、呑酸、胸の痛み、喘息、喉の違和感・痛みが挙げられます。
呑酸というのは酸っぱい液体が喉まで上がってきてゲップが出るもので、ひどいときは吐いてしまうこともあります。問診では、これらの症状を正しく伝えることが大切です。
検査は内視鏡検査で、いわゆる胃カメラをいれて、食道の粘膜の状態を確認します。
胸焼けがあるのに粘膜に異常がなかったり、内視鏡検査ができない患者さんには検査薬を使った検査が行われます。
胸焼けは必ずしも逆流性食道炎によるものではないので、きちんと検査を受け、他に病気がないか確認することが重要です。
治療は、ほとんどの場合、生活習慣の改善と薬物療法をセットで行います。これによって効果が得られなかった場合、もしくは再発を繰り返した場合は手術による治療になります。最近は腹腔鏡による手術が増えています。
症状がなくなったからといって、独断で治療をやめてしまうと再発する恐れがありますので、医師の指示を守って治療することが重要です。
逆流性食道炎を治療することは、逆流の繰り返しによって起こるバレット食道や、食道がんの予防にもなるので、はっきり症状を感じなくても、しっかり治療に取り組むことをお勧めします。
逆流性食道炎が起こるメカニズムとその原因
胃液は強い酸性で刺激が強いため、胃は粘膜によって保護されています。
しかし、食道は胃液に対して抵抗がないため、我々の身体には、胃液が逆流しないための仕組みが備わっています。
その仕組みの大部分を担っているのが下部食道括約筋です。
食道と胃のつなぎ目であるこの筋肉は、食べ物を食べるときは緩み、それ以外のときは食道をしめて、胃の内容物の逆流を防いでいます。
さらに、筋肉の収縮により消化管が食べたものを肛門側へ運搬していくという食道のぜん動運動によって、たとえ逆流してもすぐにその内容物を胃へ戻せるようになっており、また、唾液を呑み込むと逆流した胃液を薄めて流すことができて、食道を傷つけない仕組みも備わっています。逆流はこれらの仕組みが弱まったり、胃酸の量が増えすぎることで引き起こされます。
その原因として真っ先に挙げられるのは、脂肪、タンパク質の多い食事や食べ過ぎ、そしてそれによる肥満です。しかし、原因はそれだけではありません。その一つが姿勢です。腰が曲がっているなどの、お腹が圧迫され、胃の中の圧力が高くなるような姿勢だと、逆流は起こりやすくなってしまいます。
そして、他の病気の薬による影響も原因として考えられます。喘息、血圧、心臓の病気の薬の中には、下部食道括約筋を緩めるものがあるからです。
生活を見直すことによる逆流性食道炎の予防
予防としてまず挙げられるのが食生活の見直しです。
脂肪分・タンパク質・糖分の多いものや、レモンなどの酸味の強いものは、胃酸を増やし、胃酸の逆流を起こりやすくするため控えた方が良いです。他には、消化の悪い物を減らしたり、一度に食べ過ぎない、つまり腹八分目を心がけることが大切です。また、食生活の改善と同時に、適度な運動によって、肥満を解消することも、予防につながります。
次に挙げられるのは、アルコール・コーヒー・緑茶をできるだけ控えることです。これら3つは胃酸の分泌を増やすことが知られており、特にアルコールは、それと同時に下部食道括約筋を緩めてしまうことも知られているので注意が必要です。
また、姿勢と逆流性食道炎の関係も無視できません。日中は前かがみの姿勢を避け、寝るときは上半身を少し高くすることが望ましいです。特に注意すべきなのは食後3時間の姿勢です。この時間帯は最も胃の内容物の逆流が起こりやすいと言われているので、食後すぐに横になったりすることは避けてください。
その他にできる予防というと、喫煙を避けることや、お腹を締め付けないことがあります。タバコは逆流性食道炎を悪化させるので、禁煙することをお勧めします。