内臓が悪いと口が臭くなる理由
内臓に問題がある場合、口臭の原因となるには4つの経路があげられます。
1. 胃腸の活動が弱ってる場合
胃炎や十二指腸炎など、消化器系の内臓が弱っている場合は、『卵の腐ったような臭い』がします。
臭いの原因となっているのは『硫化水素』。よく温泉などで「硫黄の臭い」と言われている物です。
硫黄臭の正体
消化器系が弱くなると、食べ物の消化が正常に行われません。その為に消化、吸収される前に食べ物が発酵します。
この発酵時に発生するガスが、『硫化水素』。
腸内で発生した硫化水素は、腸壁から吸収され血液に混じって肺へと運ばれ、吐き出す呼気の中に混ざって口臭となります。
胃の臭いが直接、逆流する事はない
『胃の中の臭いが、口元まで逆流してくる』と言われますが、これは誤解です。
食道と胃は噴門部という場所により仕切られており、食べ物を通す時以外は閉じており、胃の中にある臭いがそのまま口に運ばれることはありません。
例外としてとして「げっぷ」をする時は、胃に溜まり過ぎた空気を出す必要がありますので、噴門部は解放されます。
内臓からくる口臭の多くは臭い物質が血液に混ざり、肺まで運ばれ、肺の酸素と交換される事で初めて口臭となります。
その為、少し胃が荒れている程度では、口臭は発生しません。
2. 肝臓が弱っている場合
血液を綺麗にすると言われている肝臓ですが、他にも『臭い物質を押さえる働き』がある事も確認されています。
その為、肝硬変などで肝臓の働きが弱まると、様々な臭いが発生します。
アンモニア臭
腸内の働きにより、血液中にはどうしてもアンモニアが溶けこんでしまいます。
そのままでは人体に有害なアンモニアは、肝臓で尿素に変えられ、最終的には尿として排出されます。
その為、肝臓の働きが弱いと、アンモニアが処理されずに肺まで運ばれ、アンモニア臭となります。
しかし、肝臓のアンモニア分解度は非常に高く、口臭から案もアンモニアの臭いがする時は、非常に危険な状態と思って間違いないでしょう。
ネズミの臭いとカビの臭い
肝機能が落ち始めた場合、アンモニア臭がする前にネズミの臭いがすると言われています。
ネズミの臭いで分からなければ、カビた雑巾の臭いとも言い換える事が出来ます。
二日酔いになるほどお酒を飲んだ後は、自分の布団の臭いに注意してください。
カビ臭く感じたら、肝機能が弱っている証拠です。
3. 糖尿病による臭い
糖尿病になると、細胞が糖をエネルギーとして利用しにくくなります(その結果、使用されない糖が血液中に溢れる)。
糖をエネルギーに変えられない細胞は、脂肪を分解してエネルギーにしますが、その分解には『ケトン体』という物質が必要になります。
酸っぱい臭い
このケトン体の主成分である『アセトン』には、独特の酸っぱい臭いがあり、これが口臭の原因となります。
また、糖尿病になると唾液の量が減り、ドライマウスになります。
ドライマウスになると口腔の細菌が増え歯周病になりやすくなります。
口臭の原因の80%は歯周病によるものと言われています。
4. 癌による臭い
また、癌にも特有の臭いがある事も分かっています。
これは「ガン探知犬・マリーン」による実験により判明した物で、その的中率は90%を超える実験結果が出されています。
また、胃がんや大腸がんのかぎ分けにも成功している事から、癌にはそれぞれ特有の臭いがあるのではと考えられています。
人でも癌の臭いを感じる事がある
口臭治療のガイドラインでは、胃がんの場合は『卵の腐った臭い』がすると言われています。
しかしこの臭いは胃腸が弱まっている時にも同じような匂いがする為、癌の決め手とはなりません。
また、癌と接する事が多い人の中には『キツイ花の臭い』がするという人もいますが、一方で『まったく臭いを感じない』という人も存在します。
簡単な口臭のセルフチェック
口臭は、自分では気が付かない物です。その為、気が付かないままに周りに迷惑をかけている場合もあります。
そこで最後に自分で簡単に口臭をチェックする方法を紹介します。
必要なのはコップ一つ
材質は何でもいいので、大きめのコップを一つ手に取ります。
そしてその中に息を吹き込み、すぐに蓋をします。
その後、深呼吸し、一呼吸ほど時間を空けてから、コップの中の臭いをかぎます。
自分の口臭が感じ難いのは、その臭いに対して鼻が麻痺している事が理由の一つです。
そこで深呼吸と時間を置く事で鼻をリセットして、自分の吐き出した確認する事で客観的な判断が下せるようになります。
もちろん、コップではなくビニール袋を使っても有効ですが、ビニールの臭いがしない物を選びましょう。
口臭は内臓疾患を知るバロメータ―
口臭の第一原因は虫歯や歯周病です。
しかし口腔に異常がないのに口臭がする場合は、何らかの内臓疾患を疑うべきでしょう。
特に、口臭には臭い物質を取り除く肝臓の役割が重要です。
沈黙の臓器と言われ、初期の異常が発見しにくい肝臓が発する小さなサインを見逃さないようにしたいものです。