症状別にみる腎臓病食!しっかり療養する為に守るべき注意点!|内臓疾患ファイル

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2012年12月11日
症状別にみる腎臓病食!しっかり療養する為に守るべき注意点!

腎臓を患った時は食事療法が重要です。しっかり療養するためには欠かせない事です。しかし、食事療法をするには、色々と守らないといけない点があります。どんな事に注意が必要なのでしょうか?ここでは症状別にみる腎臓病食の必要な情報をまとめてあります。ぜひ役に立ててください。

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食事療法は腎臓病に効果大

Golden balance

腎臓は生命維持に欠かす事ができない臓器です。体内にある老廃物を血中から濾過し、尿として排出します。また、ホルモンの産出をしたり、体内環境を保つように排泄物の微調整を行なう事もします。
この様な優れた機能を持つ腎臓が、何らかの原因で病気になったらどうなるでしょうか?
体内の濾過システムが低下してしまいますので、全身の至る所に異常をきたす事でしょう。しかも悪化すれば、人工透析という事にもなりかねません。
腎臓一つで全身の機能が低下するといっても過言ではないのです。

もし、腎臓の病気を発症させてしまったらどうすれば良いのでしょうか?
腎臓病の治療法としては、薬物投与や安静が求められますが、一番重要視されるのは『食事療法』です。
これをしっかりと行なうなら、病気の進行を抑えられますし、日常の生活も支障をきたす事無く送る事ができます。

食事療法は腎臓病治療にかかせない手段なのです。

症状別で注意が必要な食事療法

腎臓病と言っても、いくつか種類はあります。またそれに伴い食事療法も幾分変わってきます。
しっかりと療養する為にも、症状に合わせた食事療法が必要になってくるのです。

腎臓病治療における食事療法の基本4項目

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腎臓病を患った時の食事療法として、守るべき点が4つあります。

塩分を抑える

腎臓を患うと塩分に含まれるナトリウムを排出できなくなります。
食事を作る際には塩分を抑えましょう。また、塩分を含んでいる食品も控える必要があるでしょう。

タンパク質の摂取量厳守

タンパク質を摂取しすぎると、尿素窒素(エネルギー化されたタンパク質によってできた老廃物)が濾過しきれなくなり、ますます悪化します。
1日で摂取して良い量を超える事が無いようにしましょう。

エネルギーの確保

タンパク質が効率良く消費されるには、エネルギーが必要不可欠です。
仮に、エネルギー不足の状態になりますと、タンパク質が残り尿素窒素も増えてしまいます。
この状態だと腎臓に負担がかかってしまいますので、しっかりとエネルギーは確保しましょう。

カリウムと水分の制限

これらの物質は生命維持には必要ですが、腎臓を患うと体内に蓄積され逆に良くありません。
制限が課された時は、摂取量を超過する事が無いようにしましょう。

症状別にみる腎臓病食

一般的な腎臓病における腎臓病食のポイントは、各種制限された成分の量を超過しない事です。
次の例と症状を基に考えてみましょう。

〈例〉標準体重=身長(m)×身長(m)×22、患者の身長=170cm。
各種制限は症状内で一般的に必要とされる量で計算する。

ネフローゼ症候群

塩分:
7g/1日
ただし血圧やむくみにあわせて制限されます。
タンパク質:
標準体重1につき0.8~1.1g/1日
1.7×1.7×22×0.8=50.864g
1.7×1.7×22×1.1=69.938g
1日50.864~69.938g内でとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき35kcal/1日
1.7×1.7×22×35=2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム・水分:
制限なし
カリウムにおいては血清カリウム値で制限が変動します。

慢性腎炎

塩分:
5~8g/1日
ただし血圧やむくみにあわせて制限されます。利尿剤使用者は要注意です。
タンパク質:
標準体重1kgにつき0.6~1.0g/1日
1.7×1.7×22×0.6=38.148g
1.7×1.7×22×1.1=63.58g
1日38.148~63.58g内でとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき30~35kcal/1日
1.7×1.7×22×35=1907.4kcal
1.7×1.7×22×35=2225.3kcal
1日1907.4kcal~2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム・水分:
制限なし
ただし乏尿期は水分の制限が課せられます。

急性腎炎(急性期)

塩分:
0~3g/1日
ただし血圧やむくみにあわせて制限されます。利尿剤使用者は要注意です。
タンパク質:
標準体重1kgにつき0.5g/1日
1.7×1.7×22×0.5=31.79gでとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき35kcal/1日
1.7×1.7×22×35=2225.3kcal
1日2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム:
血清カリウム値5.5mEp/l以上は制限が必要です。
水分:
前日の尿の量と体内から自然に蒸発する水分(不感蒸泄量※)で調整されます。
※不感蒸泄量…体重1㎏あたり15mlほど蒸発します。今回は標準体重63.58㎏に15mlをかけた953.7mlという事で計算します。

急性腎炎(回復期)

塩分:
3~5g/1日
ただし血圧やむくみにあわせて制限されます。利尿剤使用者は要注意です。
タンパク質:
標準体重1kgにつき1g/1日
1.7×1.7×22×1=63.58gでとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき35kcal/1日
1.7×1.7×22×35=2225.3kcal
1日2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム・水分:
制限なし

腎不全

塩分:
7g以下/1日(厳守)
タンパク質:
標準体重1kgにつき0.6~0.7g/1日(厳守)
ただし、尿タンパクが1日1g以下でかつクレアチニン・クリアランス50ml/分以上の時は緩和される事があります。
1.7×1.7×22×0.6=38.148g
1.7×1.7×22×0.7=44.506g
1日38.148~44.506g内でとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき35kcal/1日(年齢などによって前後)
1.7×1.7×22×35=2225.3kcal
1日2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム:
血清カリウム値5.5mEp/l以上は制限が必要です。
水分:
クレアチニン・クリアランス15ml/分以下の場合またはネフローゼ症候群の場合
→尿量と体内から自然に蒸発する水分(不感蒸泄量)に制限されます。

糖尿病性腎症(前期)

塩分:
特に制限はありませんが、過剰摂取は要注意です。
タンパク質:
特に制限がありませんが、過剰摂取は要注意です。
エネルギー:
糖尿病の食事療法にあわせます。
カリウム・水分:
制限なし
むくみに応じて水分制限があります。

糖尿病性腎症(早期)

塩分:
制限なし
高血圧の場合は制限が課されます。
タンパク質:
標準体重1kgにつき1~1.2g/1日(厳守) 1.7×1.7×22×1=63.58g 
1.7×1.7×22×1.2=76.296g
1日63.58~76.296g内でとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき25~35kcal/1日
1.7×1.7×22×25=1589.5kcal
1.7×1.7×22×35=2225.3kcal
1日1589.5~2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム・水分:
制限なし
むくみに応じて水分制限があります。

顕性腎症(前期)

塩分:
7~8g/1日
タンパク質:
標準体重1kgにつき0.8~1g/1日(厳守)
1.7×1.7×22×0.8=50.864g 
1.7×1.7×22×1=63.58g
1日50.864~63.58g内でとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき25~30kcal/1日
1.7×1.7×22×25=1589.5kcal
1.7×1.7×22×30=1907.4kcal
1日1589.5~1907.4kcalは確保する必要があります。
カリウム・水分:
制限なし
むくみに応じて水分制限があります。

顕性腎症(後期)

塩分:
7~8g/1日
タンパク質:
標準体重1kgにつき0.8~1g/1日(厳守)
1.7×1.7×22×0.8=50.864g 
1.7×1.7×22×1=63.58g
1日50.864~63.58g内でとどめる必要があります。
エネルギー:
標準体重1kgにつき30~35kcal/1日
1.7×1.7×22×30=1907.4kcal
1.7×1.7×22×35=2225.3kcal
1日1907.4~2225.3kcalは確保する必要があります。
カリウム・水分:
軽い制限があります。
むくみに応じて水分制限があります。

透析

透析に応じた食事療法+制限になります。

著者:塩屋 謙

WEBライター
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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。