肝臓で起こる病気は肝臓がんに通じる|内臓疾患ファイル

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2012年12月10日
肝臓で起こる病気は肝臓がんに通じる

「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓は、疾患が起こっても自覚症状が出にくいため、気づいた時にはもう手遅れというケースも少なくありません。そのため、不摂生な生活をしている人は肝臓の病気を抱えているという自覚を持たなければなりません。肝臓ではどのような病気が起こっているのでしょうか?

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沈黙する肝臓ではどんな病気が裏で進行しているのか

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肝臓と膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、病気が進行していても患者自身が病気を自覚できないケースになることが多い臓器です。
そのため、目に見えて体調が悪くなるほどに病状が進んでからでないと発見に至らず手遅れになってしまうことが多々あるのです。
正常に活動しているように見える肝臓では、どのような病気が秘密裏に進行しているのでしょうか?

多くの病気の原因になる脂肪肝

肝臓には幾らかの脂肪が含まれていますが、肝臓に含まれる脂肪が肝臓の5%以上に達すると脂肪肝と診断されます。

脂肪肝は肝臓がフォアグラのように多量の脂を含んだ状態になる病気で、過食や過度のアルコール摂取などが原因となります。
脂肪肝自体には自覚できるような症状はないため、特に健康面での影響はないのですが、長期間続くと他の肝臓疾患に発展するケースがあります。

肝臓が繊維状の組織に変わっていく肝硬変

身体は同じ場所が繰り返し傷ついていくと、その箇所の組織が硬く変化していく性質があります。このように肝臓が炎症で繰り返しダメージを受け続けると、肝細胞が硬化して繊維状に変化していく肝線維症を引き起こしてしまいます。
肝線維症が広範囲に渡って発生し、肝臓全体が硬化していくと肝硬変へと発展します。

肝硬変を発症すると、肝臓の機能低下が目に見えて現れ出します。体のだるさや食欲不振などが自覚症状として現れ、悪化してくると目や皮膚に黄疸が現れてきます。症状が進行すれば腹水がたまってお腹が膨れ上がったり、食道静脈瘤が破裂したり、意識障害を起こして昏睡状態に陥ったりすることがあります。

ウィルスへの感染から起こる肝炎

人間の身体にある免疫機構は、細菌・ウィルスが体内に侵入すると攻撃して体内への蔓延を防ごうとします。しかし、免疫による攻撃の余波を受ける形で侵入口周辺の組織も赤く腫れあがってしまいます。これが炎症です。

肝臓に起こる炎症は脂肪肝でも発生することがありますが、ウィルス性の肝炎の方が大きいといえます。ウィルス性肝炎の特徴は、肝細胞がんに発展する可能性が他の病気よりも高いということです。ただし、ウィルス性肝炎の原因になるウィルスは感染経路が決まっているため、注意していれば感染することなく一生を過ごすことは可能です。

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各種肝臓病が原因となる肝臓がん

脂肪肝・肝硬変・肝炎が進行していくと肝臓がんに発展していきます。多臓器からの転移ではない原発性の肝臓がんは基本的に肝臓で発生する肝細胞がん、十二指腸に繋がり胆汁を送り込む胆管で発生する胆管がんに分けられます。

肝臓がんは他の臓器癌に比べれば進行は緩やかだし、再生する臓器なので健康な部分が残っていれば大きく切除しても肝機能の回復が見込めるという特徴があります。しかし「沈黙の臓器」であるため、がんが発生していることに気付かないまま進行を許してしまうことが少なくないのです。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。